京都で染織を学んだ林は、これまで人と人との間に生まれる普遍的な感情をテーマに、時には先端的なテクノロジーを用いて、身体を介在させた作品を発表してきました。国内外での制作を経て、京都に戻った林は、豊かな自然と古い歴史に触れ、それらとの交感によって生じる多様な関係性を手がかりに、自己の在り方に向き合うようになります。
本展で林は、祖父が遺した日記を辿りながら、現在も火山活動を続ける阿蘇山の熱現象観測、京都で絶滅が危惧される植物や植物園で咲く共進化を果たした花々、氷河期の生命を孕む深泥池、賀茂川の歴史を宿す石、彼女に影響を与える華厳思想を着想源に、写真やテキスタイル、フレグランスやインタラクティヴ作品によるインスタレーションなどの新作を展示し、悠久の自然のなかで明滅する生命の律動、人間の営為や創造的行為について思考します。
かつて詩人のジョン・キーツは、ニュートンが光のスペクトルを発見したことに対して、虹をほどいて、ばらばらにし、詩情とその美しさを失わせたと嘆きました。このほどかれた虹を再び織ることはできないでしょうか。林は自然、科学、芸術、思想など多様な領域を独自の視点で再編し、それらをコズミックな織物として提示することを試みます。
新しい虹が表れた時、あなたは世界とどのような関係を結ぶのでしょうか。
主 催|「林 智子 reweaving the rainbow」展実行委員会
助 成|公益財団法人 西枝財団、公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団
特別協賛|塩野香料株式会社
協 力|京都府立植物園、京都大学火山研究センター、京都大学防災研究所、深泥池水生生物研究会、京都大学理学研究科 測地学研究室
公益財団法人京都市都市緑化協会、ハムズオフィス、京都精華大学芸術学部・芸術研究科、京都芸術大学アートプロデュース学科
神戸大学美術史研究室
企 画|芦田彩葵
お問合せ|
E-mail:reweavingtherainbow@gmail.com
URL : https://www.tomokohayashi.com/tomokohayashireweavingtherainbow
京都府に発令された緊急事態宣言により、4月25日〜5月11日の間に予定されていました関連プログラムについてはオンラインでの無観客配信もしく開催延期といたします。延期開催日が決まりましたら、展覧会公式サイトにてお知らせします。なお、状況によっては中止とさせていただく場合もありますので、あらかじめご了承ください。
1979年生まれ。宝塚市在住。
神戸大学文学部卒業、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ・ディプロマ取得、神戸大学大学院博士課程修了。
博士(文学)。
専門は近現代西洋美術史、現代美術。2006年から2019年まで熊本市現代美術館に学芸員として勤務。主な企画展に同館での「荒木経惟 熊本ララバイ」(2008-2009)、「小谷元彦展 幽体の知覚」(2011)、「STANCE or DISTANCE? わたしと世界をつなぐ距離」(2015)など。「Art Project KOBE 2019: TRANS- 」キュレーター。現在は神戸大学で博物館学関連の教鞭を取りながら、現代美術のキュレーションに携わる。
1980年兵庫県出身、京都市在住。
京都精華大学芸術学部卒業、ロンドン大学セントラル・セント・マーティン ズ・カレッジ・アート・アンド・デザイン修士課程修了。 主な展覧会に「Touch me」(ヴィクトリア&アルバート美術館、ロンドン、2005)「現代美術の皮膚」(国立国際美術館、大阪、2007)「sweet memory」(京都芸術センター、2011)「Stance or Distance?」(熊本市現代美術館、2015)「Taoyuan Arts×Technology」 (タオユアン・アート・センター、台湾、2018)「Microwave New Media Arts Festival」(香港シティホール、2019)「TAKUMI CRAFT CONNECTION」(建仁寺両足院、京都、2019)など。