公益財団法人西枝財団が実施しております「瑞雲庵における若手創造者支援事業」にご応募いただき、誠にあり がとうございました。厳正なる選考の結果、下記の2事業の採択 をいたしましたことをご報告いたします。尚、選考の内容につい て個別のお問い合わせにはお答えできかねますのでご承知おきください。 今後とも公益財団法人 西枝財団の活動にご理解ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。
春季
大久保 美紀『遍在、不死、メタモルフォーゼ』
アーティスト:Jean-Louis Boissier, Florian Gadenne, 石橋友也、入江早耶、クワクボリョウタ、古市牧子
【選考理由】
日本とフランスを拠点に活躍する世代も表現領域も大きく異なる6名の作家を「メタモルフォーゼの哲学」で結びつけ、それぞれの作家の解釈に基づく多様な芸術アプローチを通じて、メタモルフォーゼという概念の深い部分にある美的な共感を瑞雲庵において鑑賞者と作品を通じて共に探るという野心的な企画。また現代社会における取り組みとして「エコロジー」にも目を向けた企画でもあり、アーティストの選定や出展作品プランに一貫性と説得力があり、具体的な予算収支、スケジュールにおいても憂慮すべきところがなかった。大久保が6名の作家と共に瑞雲庵をいかに変容させ、共鳴しあい、私たちが生きている世界の思索を「メタモルフォーゼ」できる契機となるよう期待している。
秋季
磨田 花朗『生き続けるもの(仮)』
アーティスト:築山有城、北浦和也、鈴木大晴、森本菜南、辻大輝
【選考理由】
100年もの間、人間の営みを包み込んできた建物「瑞雲庵」に着目し、人の手や自然物の特性を活かした作品を中心としたグループ展を開催することで自然物や人間が織りなす絶妙な美しさと面白さがどこにあるかを再考させ、その先の未来を作品と空間を通じて想起させるという意欲的な企画。ハンドアウトに企画者が着目した瑞雲庵の美しさを作品情報と共に掲載する他、関連プログラムもアーティストトークの他、職人を招いた建物に関するイベント案など、「瑞雲庵」をここまで念頭においた企画はこれまでになかった。今回の応募者の中で最年少かつ経験値も少ないことから多少の不安もあるが、企画者の人柄が滲み出ている丁寧に作成された企画書や具体的な運営プランなどから本助成事業の経験を通してさらなる成長をしてほしいという期待を込めて採択となった。
選考委員
京都精華大学 副学長
吉岡恵美子氏
京都市立芸術大学 教授
加須屋 明子氏
ACTUAL Inc. 代表
辻 勇樹氏
公益財団法人 西枝財団 事務局長
西枝 康一